永住許可の要件 現在の制度

永住許可には、入管法で定められた3つの要件があります。帰化とちがい、現在の永住許可ガイドラインには日本語能力に関する記載はありません。ただし、在留年数や公的義務の履行については、細かく確認されます。

目次

この記事でわかること

  • 永住許可の3つの要件
  • 「原則10年」の在留年数と、それが短くなる特例
  • 帰化との違い
  • 2027年3月末までの経過措置

この記事は、出入国在留管理庁が公表している「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」をもとに、現在適用されている制度を整理したものです。実際の審査は個別の事情によって変わるため、申請をご検討の際は、必ず最新の公式情報をご確認ください。

なお、2026年8月4日に、このガイドラインの改定案が公表され、意見募集が行われています。改定案の内容については別の記事で扱います。この記事で説明するのは、現在適用されている制度です。

永住許可の3要件

永住許可の法的な根拠は、入管法第22条第2項です。この条文が定める要件は、次の3つです。

  1. 素行が善良であること(素行善良要件)
  2. 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること(独立生計要件)
  3. その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益要件)

永住許可に関するガイドラインは、この法律上の要件について、出入国在留管理庁が審査でどのように考えるかを示した指針です。法律や法務省令そのものではなく、要件を満たせば必ず許可されるというものでもありません。

そして重要な例外があります。日本人・永住者・特別永住者の配偶者または子である場合は、1つ目(素行善良)と2つ目(独立生計)の要件への適合が不要とされています。難民の認定または補完的保護対象者の認定を受けた方などは、2つ目の要件への適合が不要です。

ただし、これらの方も国益要件の確認まで不要になるわけではありません。 ここは誤解されやすい点です。

3つの要件の解説

素行が善良であること

法律を遵守し、日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること、とされています。

犯罪歴だけの話ではありません。日常生活や社会生活における法令違反についても、その内容や回数、時期などに応じて確認の対象となります。交通違反もこれに含まれます。

独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること

日常生活において公共の負担にならず、資産や技能などから見て、将来において安定した生活が見込まれること、とされています。

単に収入額だけで機械的に判断されるものではなく、将来にわたって安定した生活が見込まれるかが確認されます。申請人本人だけでなく、世帯の収入や扶養の状況が確認される場合があります。

永住が日本国の利益に合すると認められること

3つの要件のうち、内容が最も多いのがこれです。ガイドラインでは、次の5つが挙げられています。

ア 在留年数

原則として、引き続き10年以上日本に在留していること。ただし、この10年のうち、就労資格または居住資格をもって引き続き5年以上在留していることが必要です。

ここで注意したいのは、在留資格「技能実習」と「特定技能1号」は、この5年の就労資格から除かれるという点です。技能実習や特定技能1号で日本に滞在していた期間は、原則10年の在留期間には算入されますが、その内数である「就労資格等で引き続き5年以上」には算入されません。二段階の扱いになっています。

イ 公的義務の履行

罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと。そして、公的義務を適正に履行していることが求められます。公的義務とは、納税、公的年金・公的医療保険の保険料の納付、そして入管法に定める届出などの義務です。

ここが、永住審査で特に重要な部分です。ガイドラインには、申請時点で納付済みであったとしても、当初の納期限内に履行されていない場合は、原則として消極的に評価されると明記されています。

つまり、期限を過ぎてから納めた場合、申請時に納付がすんでいても消極的に評価されるということです。永住を考えている方が、日ごろから特に気をつけるべき点になります。

ウ 在留期間

現在持っている在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること。

この点には期限つきの経過措置があります(後ほど説明します)。

エ 上陸許可基準等への適合

現在の在留資格について、法務省令で定める基準等に適合していること。

オ 公衆衛生上の観点

公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。

「原則10年」が短くなる特例

在留年数の「原則10年」には、いくつかの特例があります。ガイドラインに定められている主なものは次のとおりです。

  • 日本人・永住者・特別永住者の配偶者:実体を伴った婚姻生活が3年以上続き、かつ引き続き1年以上日本に在留していること。その実子等の場合は、1年以上継続して在留していること
  • 「定住者」の在留資格:5年以上継続して在留していること
  • 難民の認定または補完的保護対象者の認定を受けた方:認定後5年以上継続して在留していること
  • 日本への貢献が認められる方:5年以上在留していること
  • 高度専門職(70点以上):3年以上継続して在留していること
  • 高度専門職(80点以上):1年以上継続して在留していること
  • 特別高度人材:1年以上継続して在留していること

日本人・永住者・特別永住者の配偶者に該当する方にとって、最初の特例は重要な意味を持ちます。ただし「実体を伴った婚姻生活」が前提であり、婚姻の実態が確認される点には注意が必要です。

帰化との違い

永住と帰化は、目的も効果も異なる制度です。要件の面で、特に大きな違いは次の点です。

日本語能力に関する扱い

帰化では、日常生活に支障のない程度の日本語能力(会話および読み書き)が必要とされています。一方、現在の永住許可ガイドラインには、日本語能力に関する記載はありません。

日本語にまだ不安がある方にとって、これは大きな違いです。

国籍が変わらない

永住は在留資格のひとつで、母国の国籍はそのままです。帰化は日本国籍を取得する手続きです。

担当する役所が違う

永住は出入国在留管理庁(入管)、帰化は法務局が窓口です。制度も審査の考え方も別のものです。

2027年3月末までの経過措置

先ほど触れた「ウ 在留期間」について、現在は経過措置があります。

ガイドラインの注記によると、令和9年(2027年)3月31日までの間は、在留期間「3年」を有する場合であっても、「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱うとされています。

在留期間の最長は多くの在留資格で「5年」ですが、この経過措置により、現在は「3年」でも要件を満たすものとして扱われています。

さらに、令和9年3月31日の時点で在留期間「3年」を有している方については、その後についても経過的な取扱いが定められています。適用の条件が細かく決められているため、該当する可能性のある方は、公式ページで原文をご確認ください。

在留期間「3年」で永住申請を検討している方にとって、この期限と適用条件は確認しておく必要があります。

つまずきやすいところ

要件そのものより、次のような点で相談になることが多くあります。該当したから許可されない、という話ではありません。ただ、事前に整理しておかないと、申請の直前で困ることになりやすい部分です。

納付の時期 税金・年金・健康保険料について、期限を過ぎてから納めた時期がある場合です。前述のとおり、申請時に納付がすんでいても消極的に評価されます。ご自身の納付の記録を確認しておく必要があります。

在留年数の数え方 日本での在留期間が10年を超えていても、その内数である「就労資格等で引き続き5年以上」を満たしているとは限りません。技能実習や特定技能1号の期間は、この5年に算入されないためです。

入管への届出 住居地の変更や所属機関の変更などの届出を忘れていた期間がある場合です。過去の届出状況も確認の対象になります。

日本を離れていた期間 仕事やご家族の事情で長期間日本を離れていた時期がある場合、「引き続き」在留していたと評価されるかが論点になります。

いずれも、ご自身の記録を確認するところから始まります。書類を集める前に整理しておくと、後戻りが少なくなります。

要件を満たしていても、許可されるとは限りません

要件を満たしている場合でも、許可が当然に保証されるわけではありません。永住許可は、個別の事情や提出資料を踏まえて総合的に判断されます。

永住者は在留活動と在留期間の制限がない、在留資格の中でも特に安定した地位です。そのぶん、審査は慎重に行われます。ガイドラインの要件を満たすことは出発点であり、そこから個別の事情が総合的に判断されます。

制度が見直されている時期です

最後に、時期の話をひとつ。

2026年8月4日、出入国在留管理庁が「永住許可に関するガイドライン」の改定案を公表し、意見募集を開始しました。世帯収入、将来の年金の見込額、日本語能力、日本を離れていた期間、配偶者の特例など、審査で確認される内容が具体化される案になっています。

この改定案は、まだ確定した基準ではありません。 ただし、内容によっては申請の時期の判断に関わってきます。改定案の詳細は別の記事で扱いますので、そちらもあわせてご覧ください。

現在のガイドラインでも改定案でも、共通して重視されているのは、税金・年金・健康保険料を期限内に納めているか、入管への届出を適正に行ってきたか、という点です。制度がどう変わっても、この部分が土台になります。

ご自身がどの要件を満たしていて、どこに不安があるのか。まずは現状を整理することから始めてみてください。

ご自身が永住の要件を満たしているか、英語でもご相談いただけます。 在留年数・納付状況などを踏まえた個別の確認は、無料相談でお尋ねください。

あわせて読みたい:永住と帰化の違いとは? あわせて読みたい:永住許可ガイドライン改定案について

この記事について

対象読者:この記事は、日本で暮らす外国人の方が、現在の永住許可の要件をおおまかに理解するための概要記事です。高度専門職、特別高度人材、難民の認定を受けた方、定住者の方などには、別の基準や特例が適用されます。

免責事項

本記事は、現在適用されている永住許可ガイドラインに関する一般的な情報を整理したものであり、個別の許可・不許可を保証するものではありません。制度・ガイドライン・審査運用は変更される可能性があります。2026年8月4日に公表された改定案の内容は、この記事には反映していません。申請をご検討の際は、必ず最新の公式情報をご確認いただくか、専門家にご相談ください。

参考情報

最終更新日:2026年8月9日(掲載時点の情報に基づいています)

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