永住許可ガイドライン改定案|何が変わり、いつから適用されるのか

2026年8月4日、出入国在留管理庁が「永住許可に関するガイドライン」の改定案を公表しました。現在のガイドラインにない考慮要素が具体的に示されており、永住を検討している方に直接関係する内容です。

ただし、これは案であり、確定した基準ではありません。 意見募集を経て、内容が変わる可能性があります。

目次

この記事でわかること

  • 改定案がどういう位置づけのものか
  • いつから適用されるとされているのか
  • 現在のガイドラインから何が変わるのか
  • どういう方が影響を受けるのか

この記事は、出入国在留管理庁が2026年8月4日に公表した「永住許可に関するガイドライン(案)」をもとに整理しています。案の内容であり、確定した基準ではありません。ご自身に関係する部分は、公表されている原文でご確認ください。

改定案とは何か

出入国在留管理庁は2026年8月4日、永住許可に関するガイドラインの改定案を公表し、意見募集(パブリックコメント)を開始しました。意見の受付は2026年9月4日までとされています。

現在適用されているガイドラインが1ページに満たない分量であるのに対し、改定案は13ページ、6章の構成です。これまで示されていなかった考慮要素が、項目ごとに具体的に書かれています。

同じ日に、「永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン案」も公表されています。こちらは許可の要件ではなく、許可を受けた後の取消しに関するものです。

また、この改定により「我が国への貢献」に関するガイドラインは廃止され、その内容は永住許可のガイドラインに統合されるとされています。

なお、永住許可の根拠である入管法第22条第2項には、2027年4月1日施行の改正により「この法律に規定する義務の遵守、公租公課の支払等」という文言が加わります。改定案は、これは従来からガイドラインに記載されていた内容を法律上の要件として明確化したものであり、施行日以前の審査でも考慮されていたものだと説明しています。

いつから適用されるとされているのか

原則として、2027年(令和9年)4月1日以降の申請から適用されるとされています。

ただし例外があります。**収入に関する部分(第2の4(2))と、公共の負担とならないことに関する部分(第2の5(7))**については、ガイドラインの改定日から6か月前の日以降の申請であって、改定日の時点で申請中の案件にも適用されるとされています。

この2つについては、2027年4月より前に申請した案件にも関係する可能性があります。

なお、改定案の文書では、改定日そのものが「令和8年○月○日」と空欄になっています。具体的な日付は示されていません。

生計に関する変更

この章で扱う「収入」と「公共の負担とならないこと」は、上で述べた適用時期の例外にあたる項目です。 改定日から6か月前の日以降の申請にも適用されるとされているため、先に取り上げます。

独立生計要件の考え方

現在及び将来において自活可能と認められる必要があり、日本人と同等水準以上の経済条件が求められるとされています。また、この要件は原則として同一生計世帯単位で審査するとされています。

収入

申請時点で、申請者の属する世帯年収の額が、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準に継続して達しているかを考慮要素とするとされています。

世帯年収の計算方法についても定めがあります。

  • 世帯とは、住居および家計を共にしている人の集まりをいう
  • 同一生計世帯を構成する人の年収を合算する
  • ただし、成人しているなど父母の扶養から外れている人については、父母の収入を算入せずに判断する
  • 申請者を扶養者とする「家族滞在」など、就労を目的とする在留資格ではない方の収入は合算しない。資格外活動許可による収入は例外的・限定的なものだから、という理由です
  • 申請者が扶養する親族は、外国に住んでいる場合や同居していない場合も世帯人数に加算する
  • 世帯人数が5人以上に及ぶ場合は、生活費等の増加額分を加算した水準で判断する

配偶者が家族滞在の在留資格で働いている世帯の場合、その収入は世帯年収に合算されないことになります。

具体的な金額は示されていません

ここで注意が必要な点があります。改定案には、具体的な金額も、参照する統計も書かれていません。

「日本人世帯の平均収入」とだけ示されており、どの統計調査のどの数値を用いるのか、平均値か中央値か、世帯人数ごとの区分をどう設定するのかは明らかにされていません。年金の受給年金水準や補填資産額についても同様で、考え方が示されているだけです。

つまり現段階では、ご自身の世帯年収が水準に達しているかどうかを確定的に判断することはできません。

そして、この収入に関する部分は、前述のとおり適用時期に例外が設けられている項目です。改定日から6か月前の日以降の申請で、改定日に審査中のものにも適用されるとされています。基準となる金額が示されないまま、すでに申請した案件にも適用される可能性があるということになります。

この点は、今後の公表内容を確認していく必要があります。

年金

申請時点の年齢、加入対象期間すべての年金の加入状況、申請時点の年収から推計される将来受給可能な年金の見込額が、一定の水準に達しているかを考慮要素とするとされています。

その水準とは、日本人世帯の平均収入を上回る年収水準で30年間働き、その期間ずっと厚生年金に加入していた場合の受給見込額です。

見込額が足りない場合でも、不足する生活資金を補える金融資産があると認められるときは、水準に達しているものと評価されます。この補填資産の基準は申請時の年齢に応じたものとされ、若い方ほど長期にわたって資産を形成できることを考慮して、低く設定されます。

配偶者がいる場合は、申請者と配偶者の受給見込額を合算し、これが受給年金水準に、配偶者が同じ期間ずっと国民年金の第3号被保険者だった場合の見込額を加算した額に達しているかを見るとされています。

公共の負担とならないこと

ここは、配偶者や子として申請する方にとって重要な項目です。

日本人・永住者・特別永住者の配偶者や子、および難民の認定等を受けた方は、独立生計要件への適合が求められません。しかし改定案は、これらの方についても次のように述べています。

申請者の属する世帯が現に公共の負担となっている場合や、そのおそれが現実的である状況にあり、そのような状況に至ったことに特段の事情が認められない場合には、消極的に評価することがある

一律に永住を許可することは国益に合致するとは言い難い、というのが理由として示されています。ただし、この要素については家族単位での在留の安定や人道的な配慮の観点を重視して総合的に判断する、とも書かれています。

独立生計要件が免除される立場であっても、生計の状況がまったく見られないわけではない、ということです。

在留年数に関する変更

ここからは、原則どおり2027年4月1日以降の申請から適用されるとされている項目です。

配偶者の特例

在留年数の特例のうち、配偶者に関する部分が変わります。改定案どおり確定した場合、次のようになります。

現在のガイドライン改定案
日本人・永住者・特別永住者の配偶者実体を伴った婚姻生活3年以上+引き続き1年以上の在留実体を伴った婚姻生活5年以上+引き続き3年以上の在留
その実子等継続して1年以上の在留継続して3年以上の在留

婚姻期間と在留期間の両方が長くなります。日本人・永住者・特別永住者の配偶者として申請する方には、直接関係する変更です。

就労資格の範囲

原則10年のうち5年必要とされる「就労資格」について、改定案では定義が示されました。

就労を目的とする在留資格から、「技能実習」「育成就労」「特定技能1号」「企業内転勤」および一部の「特定活動」を除いたものとされています。家族の帯同が認められないなど、一定の制約がある在留資格が除かれる、という考え方です。

現在、この5年から除かれるのは技能実習と特定技能1号です。改定案どおり確定した場合、育成就労、企業内転勤、一部の特定活動が加わります。企業内転勤の在留資格で日本にいる期間が長い方は、在留年数の計算が変わることになります。

「特定活動」の取扱いが示されました

改定案では、在留資格「特定活動」について独立した章が設けられ、どの活動が10年に算入されるか、どの活動が就労資格に該当するかの考え方と例が示されています。

10年の期間に算入されない活動の例

特例的・一時的に在留が認められているものは算入されないとされ、継続就職活動、就職内定者、本邦の大学等を卒業して起業活動を行う留学生、難民認定等手続中、本国の情勢不安を理由に在留が認められている者が挙げられています。

就労資格に該当するとされる活動の例

アマチュアスポーツ選手(告示6号)、国際仲裁代理(告示8号)、特定研究等活動(告示36号)、特定情報処理活動(告示37号)、本邦大学等卒業者(告示46号)、EPA看護師およびEPA介護福祉士(候補者としての在留期間を除く)。

就労資格に該当しないとされる活動の例

ワーキングホリデー(告示5号・5号の2)、インターンシップ(告示9号)、本邦の高等学校卒業後に就職した者。

日本を離れていた期間

これは現在のガイドラインにない新しい基準です。

在留期間については基本的に日本に居住していることが求められることから、申請時点から過去10年以内において、合理的な理由なく、一回の出国で半年以上不在とした期間がある場合、または通算して2年6か月以上不在とした場合は、原則として消極的に評価されるとされています。

現在は具体的な日数の基準が示されていません。改定案では数字が明示されます。

変わらない部分

在留年数の原則10年、その内数として就労資格または居住資格で引き続き5年という枠組みは維持されています。

在留期間に関する経過措置も引き継がれています。2027年3月31日までに申請された永住許可申請では、在留期間「3年」を持っている場合でも「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱われます。2027年4月1日以降の申請についても、3月31日時点で「3年」を持っていた方が行う初回の申請で、かつ4月1日からその在留期限までの間に処分を受ける場合に限り、同じ取扱いとされています。

新しく加わる考慮要素

日本語能力

一定水準の日本語能力を有していることが、考慮要素として示されました。具体的には、「日本語教育の参照枠」におけるB1相当レベル以上とされています。

ただし、次のような方については、本人にB1相当レベル以上を求める必要性・相当性があるとはいえないとして、考慮要素としないとされています。

  • 高度人材外国人、および高度人材外国人の家族
  • 学校教育法が規定する初等教育または中等教育を累計6年以上受けた方
  • 永住者の子(その子を養育する親がB1相当レベル以上の日本語能力を有しており、かつ子が日本で出生した場合に限る)

現在のガイドラインには日本語能力に関する記載がないため、新しく加わる項目です。

日本の制度・ルールへの理解

地域社会に円滑に適応せず問題を引き起こすおそれがある場合は相当でないとして、我が国の制度・ルール等について理解が乏しい方や、理解する意欲に欠ける方は消極的に評価されるとされています。

具体的には、出入国在留管理庁長官が指定する方法により、「生活・就労ガイドブック」に記載されている事項を中心に理解の確認を行い、その理解が一定水準以上に達しているかを考慮要素とするとされています。確認の具体的な方法は、改定案には示されていません。

学齢期の子の就学

学齢期(義務教育の期間)にある子を養育する親である場合は、その子が小学校または中学校に通学していること。申請者自身が学齢期にある場合は、申請者が通学していること。これらを満たすかを考慮要素とするとされています。

従来の項目についての明確化

公租公課の支払

「公租」は所得税、住民税、法人税、固定資産税等の租税全般、「公課」は租税以外の負担金(公的医療保険、公的年金等)をいう、と定義が示されました。

そのうえで、申請時点で未納がなかったとしても、過去に滞納処分を受けたことがあるなど、過去において適切に支払っていない状況が認められる場合も、原則として消極的に評価されるとされています。

この考慮要素についても、原則として同一生計世帯単位で審査するとされています。

法に規定する義務の遵守

住居地届出等の各種届出義務、在留カードの再交付等に関する義務、在留カードの常時携帯・提示義務、在留資格で認められた活動以外の活動をしない・させない義務などが挙げられています。

申請時点で現に義務違反の状態にある場合だけでなく、過去の義務違反が判明した場合も原則として消極的に評価されるとされています。

刑罰法令違反

過去に拘禁刑(懲役、禁錮を含む)や罰金刑を受けた方に加えて、少年法による保護処分を受けている方も原則として消極的に評価されるとされています。

上陸拒否事由への非該当

入管法第5条第1項各号に規定する上陸拒否事由に該当する外国人に永住を許可することは相当でないとして、該当する方は消極的に評価されるとされています。現在のガイドラインには、上陸許可基準への適合のみが記載されています。

国益要件の考え方

国益に合すると認められるためには、単に国益に反しないという消極的なものにとどまらず、積極的かつ具体的に永住が日本国に利益をもたらす必要がある、と書かれています。

また、2026年1月23日に決定・公表された「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」に記載された各施策への貢献・寄与も、考慮要素となり得るとされています。

素行善良要件

日常生活または社会生活において、違法行為や迷惑行為を繰り返し行っていたと認められる場合には、この要件に適合しないと評価される、という例示が加わっています。

どういう方が影響を受けるのか

改定案どおり確定した場合に、特に確認が必要と考えられる状況を挙げます。

日本人・永住者・特別永住者の配偶者として申請する方 特例が婚姻5年・在留3年になり、申請できる時期が後ろにずれます。独立生計要件が免除される立場であっても、公共の負担に関する項目は別に確認されます。

配偶者が家族滞在の在留資格で働いている世帯 その収入は世帯年収に合算されません。世帯の実収入と、審査で見られる世帯年収が一致しないことになります。

企業内転勤の在留資格の方 就労資格5年に算入されていた期間が、算入されないことになります。

海外の家族を扶養している方 扶養する親族が世帯人数に加算され、求められる収入の水準が上がります。

日本を長期間離れていた時期がある方 過去10年以内に一回の出国で半年以上、または通算2年6か月以上という基準が新たに示されます。

特定活動の在留資格で在留してきた方 10年に算入されるか、就労資格に該当するかが、指定された活動の内容によって決まります。

日本語能力について求められてこなかった方 B1相当レベル以上が考慮要素に加わります。ただし日本の学校で初等教育または中等教育を累計6年以上受けた方などは対象外とされています。

今できること

改定案は確定した基準ではなく、収入や年金については具体的な金額も示されていません。現時点で申請の可否を判断することは困難です。

そのうえで、いまできることが2つあります。

意見募集への意見提出

意見の受付は2026年9月4日までです。制度の当事者として意見を述べることができます。

期限内納付と届出の継続

改定案が確定するかどうかにかかわらず、税金・年金・健康保険料を期限内に納めること、入管への届出を適正に行うことは変わりません。むしろ改定案では、申請時点で未納がなくても過去に適切に支払っていない状況が認められる場合は消極的に評価されるとされており、過去の記録の重みが増しています。この部分は、いまの行動が将来の申請に直接つながります。

まとめ

2026年8月4日に公表された永住許可ガイドラインの改定案には、現在のガイドラインにない考慮要素が具体的に示されています。世帯収入、将来の年金の見込額、日本語能力、日本の制度への理解、学齢期の子の就学、日本を離れていた期間などです。

在留年数については、配偶者の特例が婚姻5年・在留3年になること、就労資格5年から企業内転勤なども除かれることが、改定案どおり確定した場合に計算へ直接影響します。

適用は原則として2027年4月1日以降の申請からとされていますが、収入と公共の負担に関する部分には別の定めがあります。一方で、収入や年金の具体的な金額と参照する統計は、改定案には示されていません。

繰り返しになりますが、これは案であり、確定した基準ではありません。意見募集は2026年9月4日までです。

改定案がご自身の申請にどう関係するか、英語でもご相談いただけます。 申請の時期をどう考えるかについても、無料相談でお尋ねください。

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この記事について

対象読者:この記事は、日本で暮らす外国人の方が、公表された永住許可ガイドライン改定案の内容を把握するための概要記事です。改定案には、この記事で扱っていない項目も含まれています。ご自身に関係する部分は、公表された原文でご確認ください。

免責事項

本記事は、2026年8月4日に公表された「永住許可に関するガイドライン(案)」の内容を整理したものです。改定案は意見募集中のものであり、確定した基準ではありません。 内容および適用時期は、今後変わる可能性があります。個別の許可・不許可を保証するものではありません。申請をご検討の際は、必ず最新の公式情報をご確認いただくか、専門家にご相談ください。

参考情報

最終更新日:2026年8月15日(掲載時点の情報に基づいています)

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