永住許可ガイドライン改定案|何が変わり、いつから適用されるのか

2026年10月1日、出入国在留管理庁は「永住許可に関するガイドライン」を改定しました。8月4日に改定案が公表され、意見募集を経て確定したものです。1ページに満たなかったガイドラインが、6章の構成になり、審査で考慮する事項が具体的に書かれました。

この記事では、改定後のガイドラインに何が書かれているのか、いつから適用されるのかを整理します。ご自身の在留資格にどう影響するかは、永住許可ガイドライン改定(2026年10月確定)|在留資格別の影響と申請時期をご覧ください。

目次

この記事でわかること

  • 改定後のガイドラインの位置づけと構成
  • いつの申請から適用されるのか
  • 新しく加わった考慮要素
  • 既存の基準から変わった点
  • 明確化された点

この記事は、出入国在留管理庁が公表している「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」の原文をもとに整理しています。8月4日の改定案と主要な項目を突き合わせた限りでは、文言の違いは見当たりませんでした(全文を逐条で比較したものではありません)。

改定後のガイドラインの位置づけ

改定後のガイドラインは、次の6章で構成されています。

  1. 総論(永住者の位置付け、ガイドラインの目的)
  2. 許可要件に関する考え方
  3. 原則10年在留に関する特例
  4. 我が国に貢献した者に対する特例
  5. 原則10年在留に関する在留資格「特定活動」の取扱い
  6. 適用時期・既存のガイドラインの整理

この改定により、「我が国への貢献」に関するガイドラインは廃止され、その内容は第4に取り込まれました。

ガイドラインは、永住許可の判断で考慮すべき事項の基本的な考え方を示したものです。総論には、永住許可の可否の予見可能性を高めることが目的として書かれています。一方で、許否の判断は個々の事案の事情を総合的に考慮して行われ、ガイドラインは「飽くまで審査に当たって考慮すべき要素についての基本的な考え方」であるとも書かれています。

なお、永住許可の根拠である入管法第22条第2項には、2027年4月1日施行の改正で「この法律に規定する義務の遵守、公租公課の支払等」という文言が加わります。ガイドラインは、これは従来のガイドラインの記載を法律上の要件として明確にしたもので、それ以前の審査でも考慮されていたものだと説明しています(注1)。

いつから適用されるのか

適用時期は、第6に定められています。

  • 原則として、2027年4月1日以降の申請から適用されます。
  • 例外として、収入(第2の4(2))と公共の負担とならないこと(第2の5(7))は、改定日の6か月前の日以降の申請であって、改定日に申請中の案件にも適用されます。

改定日が2026年10月1日と決まったため、「6か月前の日」は2026年4月1日です。つまり、2026年4月1日以降に申請し、10月1日の時点で審査中だった方には、収入と公共の負担がすでに改定後の基準で見られます。

申請の時期使われる基準
2026年4月1日〜2027年3月31日原則として令和8年2月24日改訂版。ただし、収入と公共の負担は10月1日改定版
2027年4月1日以降10月1日改定版の全体

新しく加わった考慮要素

世帯の収入(第2の4(2))

申請時点で、申請者の属する世帯年収が、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準に、継続して達しているかを考慮要素とします。

世帯年収の数え方も定められています。

  • 世帯とは、住居と家計を共にしている人の集まり
  • 同一生計の世帯を構成する人の年収を合算する
  • 成人しているなど、父母の扶養から外れている人については、父母の収入を算入しない
  • 「家族滞在」など、就労を目的としない在留資格の方の収入は合算しない(資格外活動許可による収入は例外的・限定的なものだから)
  • 申請者が扶養する親族は、外国に住んでいても世帯人数に加える
  • 世帯人数が5人以上の場合は、生活費等の増加分を加算した水準で判断する

具体的な金額と参照する統計は、改定後のガイドラインにも示されていません。 公表資料からは、ご自身の世帯年収が水準に達しているかを確定的に判断することはできません。

年金(第2の4(3))

申請時点の年齢、それまでの年金の加入状況、申請時点の年収から推計した将来受け取れる年金の見込額が、一定の水準に達しているかを考慮要素とします。

その水準は、日本人世帯の平均収入を上回る年収水準で30年間働き、その期間ずっと厚生年金に加入していた場合の見込額です。見込額が足りなくても、不足分を補える金融資産があれば、水準に達しているものと評価されます。この資産の基準は、若い方ほど低く設定されます。配偶者がいる場合は、二人の見込額を合わせて判断します。

こちらも、具体的な金額は示されていません。

長期間日本を離れていた期間(第2の5(6))

申請時点から過去10年以内に、合理的な理由なく、一回の出国で半年以上不在にした期間がある場合、または通算で2年6か月以上不在にした場合は、原則として消極的に評価します。

日本語能力(第2の5(8))

「日本語教育の参照枠」のB1相当レベル以上の日本語能力を有しているかを考慮要素とします。

ただし、第3の6から8における高度人材外国人とその家族、学校教育法が規定する初等教育または中等教育を累計6年以上受けた方、永住者の子(養育する親がB1相当以上で、子が日本で生まれた場合)などについては、考慮要素としないとされています。

日本の制度・ルール等への理解(第2の5(9))

出入国在留管理庁長官が指定する方法で、「生活・就労ガイドブック」に記載された事項を中心に理解を確認し、一定水準以上に達しているかを考慮要素とします。確認の具体的な方法は、ガイドラインには示されていません。

学齢期の子の就学(第2の5(10))

学齢期の子を養育する親である場合は、その子が小学校または中学校に通学しているかを考慮要素とします。申請者自身が学齢期にある場合は、申請者の通学が求められます。

公共の負担とならないこと(第2の5(7))

日本人・永住者・特別永住者の配偶者や子、難民の認定等を受けた方は、独立生計要件への適合を求められません。しかし、世帯が現に公共の負担となっている場合や、そのおそれが現実的な場合に、特段の事情がなければ、消極的に評価することがあるとされています。

この要素は、家族単位での在留の安定や人道的な配慮を重視して、総合的に判断するとも書かれています。

既存の基準から変わった点

配偶者の特例(第3の1)

令和8年2月24日改訂版10月1日改定版
日本人・永住者・特別永住者の配偶者実体を伴った婚姻生活3年以上+引き続き1年以上の在留実体を伴った婚姻生活5年以上+引き続き3年以上の在留
その実子等継続して1年以上の在留継続して3年以上の在留

就労資格の範囲(注2)

原則10年のうち引き続き5年以上必要な「就労資格」から、家族の帯同が認められないなど一定の制約がある**「技能実習」「育成就労」「特定技能1号」「企業内転勤」と一部の「特定活動」**が除かれます。2月24日改訂版で除かれていたのは、技能実習と特定技能1号でした。

「特定活動」の取扱い(第5)

「特定活動」について独立した章が設けられ、どの活動が10年に算入されるか、どの活動が就労資格に当たるかの考え方と主な例が示されました。

  • 10年に算入されない例:継続就職活動、就職内定者、本邦の大学等を卒業して起業活動を行う留学生、難民認定等手続中、本国の情勢不安を理由に在留が認められている者
  • 就労資格に当たる例:告示6号(アマチュアスポーツ選手)、8号(国際仲裁代理)、36号(特定研究等活動)、37号(特定情報処理活動)、46号(本邦大学等卒業者)、EPA看護師・介護福祉士(候補者の期間を除く)
  • 就労資格に当たらない例:告示5号・5号の2(ワーキングホリデー)、9号(インターンシップ)、本邦の高等学校卒業後に就職した者

変わらない部分

在留年数の原則10年(うち就労資格または居住資格で引き続き5年以上)の枠組みと、高度専門職のポイント(70点で3年、80点で1年)などの特例は維持されています。

在留期間「3年」の経過措置も引き継がれています。2027年3月31日までの申請では、在留期間「3年」でも「最長の在留期間をもって在留している」ものとして扱われます。2027年4月1日以降の申請では、3月31日時点で「3年」を有していた方の初回の申請で、4月1日からその在留期限までに処分を受ける場合に限り、同じ扱いとされています(注4)。

明確化された点

  • 公租公課の支払(第2の5(3)):「公租」は所得税・住民税・法人税・固定資産税等の租税全般、「公課」は公的医療保険・公的年金等の負担金と定義されました。申請時点で未納がなくても、過去に滞納処分を受けたなど、適切に支払っていない状況が認められる場合は、原則として消極的に評価します。原則として同一生計の世帯単位で審査します
  • 法に規定する義務の遵守(第2の5(2)):住居地の届出、在留カードの携帯・提示、在留資格外の活動をしない義務などが挙げられ、過去の義務違反が判明した場合も原則として消極的に評価します
  • 刑罰法令違反(第2の5(4)):拘禁刑や罰金刑に加え、少年法による保護処分を受けている方も、原則として消極的に評価します
  • 上陸拒否事由への非該当(第2の5(5)):入管法第5条第1項の上陸拒否事由に該当する方は、消極的に評価します
  • 国益要件の考え方(第2の5(1)):国益に合すると認められるには、単に国益に反しないだけでなく、積極的かつ具体的に永住が日本国に利益をもたらす必要があるとされました。2026年1月23日の「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」に記載された施策への貢献・寄与も、考慮要素となり得るとされています(第2の5(11))
  • 素行善良要件(第2の3):日常生活または社会生活で、違法行為や迷惑行為を繰り返し行っていたと認められる場合は、この要件に適合しないと評価される、という例示が加わりました

今できること

改定後のガイドラインでも、収入や年金の具体的な金額は示されていません。そのうえで、確実に言えることがあります。

税金・年金・健康保険料を期限内に納めること、入管への届出を適正に行うことです。 改定後のガイドラインは、過去に適切に支払っていない状況や、過去の義務違反も消極的に評価するとしています。いまの行動が、そのまま将来の申請の記録になります。

申請の時期を考えている方は、2027年3月31日までに申請するかどうかで、使われる基準が変わります。ご自身の在留資格での影響は、在留資格別の影響と申請時期で確認してください。

まとめ

永住許可ガイドラインは、2026年10月1日に改定されました。世帯収入、年金の見込額、日本語能力、日本の制度・ルールへの理解、学齢期の子の就学、出国期間の基準が新たに示され、配偶者の特例は婚姻5年・在留3年に、就労資格の範囲からは企業内転勤なども除かれました。

適用は原則として2027年4月1日以降の申請からですが、収入と公共の負担は、2026年4月1日以降の申請にすでに適用されています。

改定がご自身の申請にどう関係するか、英語でもご相談いただけます。 申請の時期をどう考えるかについても、無料相談でお尋ねください。

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この記事について

対象読者:この記事は、日本で暮らす外国人の方が、2026年10月1日に改定された永住許可ガイドラインの内容を把握するための概要記事です。ガイドラインには、この記事で扱っていない項目も含まれています。ご自身に関係する部分は、原文でご確認ください。

免責事項

本記事は、公表されている「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」をもとに一般的な情報を整理したものであり、個別の許可・不許可を保証するものではありません。審査の運用は変更される可能性があります。申請をご検討の際は、必ず最新の公式情報をご確認いただくか、専門家にご相談ください。

参考情報

最終更新日:2026年10月24日(10月1日の改定を受けて全面改訂。掲載時点の情報に基づいています)

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