永住許可には、入管法で定められた3つの要件があります。その要件を審査でどう考えるかを示した「永住許可に関するガイドライン」は、2026年10月1日に改定されました。
ただし、改定後のガイドラインがすべての申請にすぐ使われるわけではありません。どの基準で審査されるかは、いつ申請するかによって変わります。 この記事では、3つの要件と、申請の時期によって変わる点を整理します。
この記事でわかること
- 申請の時期によって、どのガイドラインが使われるか
- 永住許可の3つの要件
- 「原則10年」の在留年数と、それが短くなる特例
- 帰化との違い
- 2027年3月末までの経過措置
この記事は、出入国在留管理庁が公表している「永住許可に関するガイドライン」の令和8年2月24日改訂版と、令和8年10月1日改定版をもとに整理しています。実際の審査は個別の事情によって変わるため、申請をご検討の際は、必ず最新の公式情報をご確認ください。
まず確認:申請の時期で、使われる基準が変わります
改定後のガイドラインがどの申請に適用されるかは、その第6に定められています。
| 申請の時期 | 使われる基準 |
|---|---|
| 2026年4月1日〜2027年3月31日 | 原則として2月24日改訂版。ただし、収入と公共の負担に関する部分は10月1日改定版 |
| 2027年4月1日以降 | 10月1日改定版の全体 |
この記事では、2027年3月31日までの申請に原則として使われる2月24日改訂版を基本に説明し、2027年4月以降に変わる点をそのつど示します。在留資格ごとの影響は、永住許可ガイドライン改定(2026年10月確定)|在留資格別の影響と申請時期で詳しく整理しています。
永住許可の3要件
永住許可の法的な根拠は、入管法第22条第2項です。この条文が定める要件は、次の3つです。
- 素行が善良であること(素行善良要件)
- 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること(独立生計要件)
- その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益要件)
なお、2027年4月1日施行の改正で、この条文に「この法律に規定する義務の遵守、公租公課の支払等」という文言が加わります。改定後のガイドラインは、これは従来からガイドラインに書かれていた内容を法律上の要件として明確にしたもので、それ以前の審査でも考慮されていたものだと説明しています。
永住許可に関するガイドラインは、この法律上の要件について、出入国在留管理庁が審査でどのように考えるかを示した指針です。法律や法務省令そのものではなく、要件を満たせば必ず許可されるというものでもありません。
そして重要な例外があります。日本人・永住者・特別永住者の配偶者または子である場合は、1つ目(素行善良)と2つ目(独立生計)の要件への適合が不要とされています。難民の認定または補完的保護対象者の認定を受けた方などは、2つ目の要件への適合が不要です。
ただし、これらの方も国益要件の確認まで不要になるわけではありません。 ここは誤解されやすい点です。さらに、改定後のガイドラインでは、これらの方についても、世帯が現に公共の負担となっている場合や、そのおそれが現実的な場合に、特段の事情がなければ消極的に評価されることがあるとされています。この部分は、2026年4月1日以降の申請にすでに適用されています。
3つの要件の解説
素行が善良であること
法律を遵守し、日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること、とされています。
犯罪歴だけの話ではありません。日常生活や社会生活における法令違反についても、その内容や回数、時期などに応じて確認の対象となります。交通違反もこれに含まれます。
独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
日常生活において公共の負担にならず、資産や技能などから見て、将来において安定した生活が見込まれること、とされています。
この要件の収入の部分は、改定後のガイドラインがすでに適用されています。 2026年4月1日以降の申請では、申請者の属する世帯年収が、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準に、継続して達しているかが考慮要素になります。具体的な金額と参照する統計は公表されていません。
世帯年収の数え方にも定めがあります。申請者が扶養する親族は、海外に住んでいても世帯人数に加えます。また、配偶者が「家族滞在」の在留資格で働いている場合、その収入は世帯年収に合算されません。
永住が日本国の利益に合すると認められること
3つの要件のうち、内容が最も多いのがこれです。2月24日改訂版のガイドラインでは、次の5つが挙げられています。
ア 在留年数
原則として、引き続き10年以上日本に在留していること。ただし、この10年のうち、就労資格または居住資格をもって引き続き5年以上在留していることが必要です。
ここで注意したいのは、在留資格「技能実習」と「特定技能1号」は、この5年の就労資格から除かれるという点です。技能実習や特定技能1号で日本に滞在していた期間は、原則10年の在留期間には算入されますが、その内数である「就労資格等で引き続き5年以上」には算入されません。
2027年4月以降の申請では、この5年から「企業内転勤」「育成就労」、一部の「特定活動」も除かれます。 また、過去10年以内に、合理的な理由なく一回の出国で半年以上、または通算で2年6か月以上日本を離れていた場合は、原則として消極的に評価されます。
イ 公的義務の履行
罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと。そして、公的義務を適正に履行していることが求められます。公的義務とは、納税、公的年金・公的医療保険の保険料の納付、そして入管法に定める届出などの義務です。
ここが、永住審査で特に重要な部分です。ガイドラインには、申請時点で納付済みであったとしても、当初の納期限内に履行されていない場合は、原則として消極的に評価されると明記されています。
つまり、期限を過ぎてから納めた場合、申請時に納付がすんでいても消極的に評価されるということです。改定後のガイドラインも、過去において適切に支払っていない状況が認められる場合は原則として消極的に評価する、という考え方を引き継いでいます。
ウ 在留期間
現在持っている在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること。
この点には期限つきの経過措置があります(後ほど説明します)。
エ 上陸許可基準等への適合
現在の在留資格について、法務省令で定める基準等に適合していること。
オ 公衆衛生上の観点
公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
2027年4月以降の申請では、考慮要素が加わります。 日本語能力(B1相当)、日本の制度・ルール等への理解、学齢期の子の就学、将来受け取れる年金の見込額などです。内容は永住許可ガイドライン改定の解説をご覧ください。
「原則10年」が短くなる特例
在留年数の「原則10年」には、いくつかの特例があります。主なものは次のとおりです。配偶者と実子等の特例だけが、2027年4月から変わります。
| 対象 | 2027年3月31日までの申請 | 2027年4月1日以降の申請 |
|---|---|---|
| 日本人・永住者・特別永住者の配偶者 | 実体を伴った婚姻生活3年以上+引き続き1年以上の在留 | 実体を伴った婚姻生活5年以上+引き続き3年以上の在留 |
| その実子等 | 継続して1年以上の在留 | 継続して3年以上の在留 |
| 「定住者」の在留資格 | 継続して5年以上の在留 | 同じ |
| 難民の認定または補完的保護対象者の認定を受けた方 | 認定後、継続して5年以上の在留 | 同じ |
| 日本への貢献が認められる方 | 5年以上の在留 | 同じ |
| 高度専門職(70点以上) | 継続して3年以上の在留 | 同じ |
| 高度専門職(80点以上)、特別高度人材 | 継続して1年以上の在留 | 同じ |
日本人・永住者・特別永住者の配偶者に該当する方にとって、最初の特例は重要な意味を持ちます。2027年3月31日までに婚姻3年・在留1年を満たしていれば、現在の特例で申請できます。ただし「実体を伴った婚姻生活」が前提であり、婚姻の実態が確認される点には注意が必要です。
高度専門職のポイントを使う特例は、高度専門職の在留資格を持っていなくても使えます。詳しくは高度人材ポイントによる永住の特例|3年・1年ルートをご覧ください。
帰化との違い
永住と帰化は、目的も効果も異なる制度です。要件の面で、特に大きな違いは次の点です。
日本語能力に関する扱い
帰化では、日常生活に支障のない程度の日本語能力(会話および読み書き)が必要とされています。一方、2月24日改訂版の永住許可ガイドラインには、日本語能力に関する記載はありません。
2027年4月以降の申請では、日本語能力(B1相当)が考慮要素に加わります。 ただし、高度人材外国人とその家族、日本の学校で初等教育または中等教育を累計6年以上受けた方などには求めないとされています。
国籍が変わらない
永住は在留資格のひとつで、母国の国籍はそのままです。帰化は日本国籍を取得する手続きです。
担当する役所が違う
永住は出入国在留管理庁(入管)、帰化は法務局が窓口です。制度も審査の考え方も別のものです。
2027年3月末までの経過措置
先ほど触れた「ウ 在留期間」について、経過措置があります。
2027年3月31日までの申請では、在留期間「3年」を有する場合であっても、「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱うとされています。
在留期間の最長は多くの在留資格で「5年」ですが、この経過措置により、現在は「3年」でも要件を満たすものとして扱われています。
2027年4月1日以降の申請では、2027年3月31日の時点で在留期間「3年」を有しており、それが4月1日以降に行う初回の永住許可申請で、かつ4月1日からその「3年」の在留期限までの間に処分を受ける場合に限り、同じ扱いとされています。
在留期間「3年」で永住申請を検討している方にとって、この期限と適用条件は確認しておく必要があります。
つまずきやすいところ
要件そのものより、次のような点で相談になることが多くあります。該当したから許可されない、という話ではありません。ただ、事前に整理しておかないと、申請の直前で困ることになりやすい部分です。
納付の時期 税金・年金・健康保険料について、期限を過ぎてから納めた時期がある場合です。前述のとおり、申請時に納付がすんでいても消極的に評価されます。ご自身の納付の記録を確認しておく必要があります。
在留年数の数え方 日本での在留期間が10年を超えていても、その内数である「就労資格等で引き続き5年以上」を満たしているとは限りません。技能実習や特定技能1号の期間は、この5年に算入されないためです。2027年4月以降は、企業内転勤の期間も算入されなくなります。
入管への届出 住居地の変更や所属機関の変更などの届出を忘れていた期間がある場合です。過去の届出状況も確認の対象になります。
日本を離れていた期間 仕事やご家族の事情で長期間日本を離れていた時期がある場合、「引き続き」在留していたと評価されるかが論点になります。2027年4月以降の申請では、一回の出国で半年以上、または通算2年6か月以上という具体的な基準が使われます。
いずれも、ご自身の記録を確認するところから始まります。書類を集める前に整理しておくと、後戻りが少なくなります。
要件を満たしていても、許可されるとは限りません
要件を満たしている場合でも、許可が当然に保証されるわけではありません。永住許可は、個別の事情や提出資料を踏まえて総合的に判断されます。
永住者は在留活動と在留期間の制限がない、在留資格の中でも特に安定した地位です。そのぶん、審査は慎重に行われます。ガイドラインの要件を満たすことは出発点であり、そこから個別の事情が総合的に判断されます。
まとめ
永住許可の要件は、素行善良、独立生計、国益の3つです。2026年10月1日にガイドラインが改定され、どの基準で審査されるかは申請の時期で変わります。
2027年3月31日までの申請は、収入と公共の負担を除き、2月24日改訂版で審査されます。2027年4月1日以降は、配偶者の特例が婚姻5年・在留3年になり、日本語能力や出国期間の基準などが加わります。
どちらの基準でも共通して重視されているのは、税金・年金・健康保険料を期限内に納めているか、入管への届出を適正に行ってきたか、という点です。制度がどう変わっても、この部分が土台になります。
ご自身が永住の要件を満たしているか、英語でもご相談いただけます。 在留年数・納付状況などを踏まえた個別の確認は、無料相談でお尋ねください。
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この記事について
対象読者:この記事は、日本で暮らす外国人の方が、永住許可の要件をおおまかに理解するための概要記事です。高度専門職、特別高度人材、難民の認定を受けた方、定住者の方などには、別の基準や特例が適用されます。
免責事項
本記事は、永住許可に関するガイドラインをもとに一般的な情報を整理したものであり、個別の許可・不許可を保証するものではありません。制度・ガイドライン・審査運用は変更される可能性があります。申請をご検討の際は、必ず最新の公式情報をご確認いただくか、専門家にご相談ください。
参考情報
- 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」https://www.moj.go.jp/isa/10_00279.html
- 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan50.html
- 出入国在留管理庁「永住許可制度の適正化Q&A」https://www.moj.go.jp/isa/immigration/faq/kanri_qa_00003.html
- 出入国在留管理庁「永住許可申請」https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-4.html
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」
最終更新日:2026年10月18日(ガイドラインの改定を反映。掲載時点の情報に基づいています)
